何故、夫は不倫をしたのか? ~拭えない喪失感から浮彫になる感情~
夫の不倫をきっかけにまるで坂を転げ落ちるように、急速に夫婦関係が悪化してしまった。私一人が、奈落の底に突き落とされてしまったよう・・・。
カウンセリングでそう仰る方は、少なくありません。貴女は、いかがですか?
信じていたご主人からの裏切りは突然、貴女の生活の一部を奪われたそのような感覚に陥ったのではないでしょうか?
これまでは確かにあったものそれが、ある日突然なくなるわけですから、どうしようもない喪失感にも襲われますよね。
そして、喪失感と葛藤しながら、「どうして、夫は、私を裏切ったのか・・・」と何度も何度も考えてしまうでしょう。
「今更、考えたって、仕方ない」
「かつての夫は、もう、戻ってこない」
「考えたところで、夫婦に起きた現実は変わらない」
そんな諦めの気持ちを抱きながらも、何度もぐるぐると考えてしまうのは何故でしょう?
ご主人に対して沸き上がる怒り・虚しさ・失望・悲しみその思いはそう簡単に拭えるものではないでしょう。
そして、同じくらい拭えない「何故、夫は、私を裏切ったのか?」という思い・・・。
「夫は、なぜ不倫をしたのか?」これまで何度もその理由探しをされたのではないでしょうか?
考えた結果、貴女にはどのような思いが沸き上がってきましたか?
「私の事なんて、どうでも良かったんだ。」
「結局、私は、愛されていなかった。」
ご主人は、貴女を裏切って不倫をしたのですから、そう思われるかもしれませんね。
カウンセリングでも、このように仰る方は、とても多いです。
でも、ほんの少しの愛情も、貴女に対してなかった
そう言い切ることができるでしょうか?
愛情はなかったと感じたのであれば、「今までの結婚生活は何だったのだろう?」と虚しさでいっぱいになりますよね。
愛情は確かにあったと思えたとしても、「だったら、何で裏切ったの?」と悲しみは一層深くなるでしょう。
不倫された妻にとってはどちらの答えに行きついたとしても辛いものです。
それでも、そんな苦しい感情に目を背けたままご主人との距離を縮めて行くことは出来ません。
貴女が抱くどうしようもない感情を感じながらももし、もう一度素直な気持ちでご主人に向き合うことができたとしたら・・・・
その時、貴女の中には、どんな思いが沸き上がってくるでしょう?
何度も繰り返し考えてしまうのは、その答えが得られなければ、貴女の気持ちに折り合いがつけられないからではないでしょうか?
自分の気持ちに折り合いをつけることができなければ、納得して前に進むことが出来ませんよね。
その背景には、「今まで、夫と、過ごしてきた私の人生は、いったい何だったのだろう・・・」そんなやるせない思いも、あるでしょう。
でも、どうか、これまでの貴女の人生を否定しないで欲しいと願います。
人は、どうでもいいこと思い入れのないものには葛藤しません。
今、貴女が葛藤されているのは、これまでの人生を大切に育み、精一杯生きてこられたことその証なのではないでしょうか?
本来であれば、かけがえのない想い出であるはずのこれまで夫婦で過ごしてきた日々・・・。
その記憶が、今の貴女を一層苦しめていませんか?
特に、別居直後はとてつもない喪失感に襲われますよね・・・。
これまでの日常が一変するのですから無理もありません。朝、目覚めた時から、眠りにつくまで今まで、貴女のそばにいたはずの人が、待てど暮らせど帰って来ないのだと思い知る日々・・・。
外出しても、至るところで、ご主人と過ごした日常を思い出してしまう。
一緒に歩いた道二人で買い物したお店楽しい時間を過ごした飲食店。それらを目にする度に、「もう夫とあんな時間を共に過ごす事は、叶わないのだろうか?」と切なくなる。
「いっそのこと夫との時間を全て忘れられたら楽になれるのに…。」
「どうしたら忘れられるのだろう?」
「どうしたら夫を諦められるのだろう?」
そんな切ないお気持ちを、日々お聴きしています。
無理に忘れよう、諦めようとすればするほど、ご主人のことが頭から離れなくなってしまうでしょう。
ご主人への思いを無理に打ち消そうとするのではなくて、「ああ、悔しいけれど、今はまだ夫への気持ちがあるんだ。」という事実を観念して、受け止めてみてください。貴女を深く傷つけ裏切ったご主人それでも尚、貴女が、ご主人を思う気持ちは本当に尊い感情です。
その気持ちは無理に封印しなくても良いのではないでしょうか?だって、貴女は、妻なのですから・・・。
今は、とても辛くても、貴女の正直な気持ちを否定せず、受け止めることそうすることで、現実を少しづつ受け入れていけるようになります。
そして、ご主人を純粋に思う気持ちとは裏腹な感情も、ありますよね。ご主人への恨み、辛み…。そんな気持ちも、無理に抑え込まないでくださいね。
人の感情は、なかなか一言では言い表せないものです。
色々な感情があって当たり前ですし、幾つもの感情を感じながら日々生活をしています。
特に、悩みの渦中にいる時はまるでジェットコースターのように、日々気持ちが変動するでしょう。
そして、時には、複雑に絡み合った感情に、ご自身が翻弄されてしまうこともあるのです。
もう何をどうしたら良いか分からなくなり、無意識に感情をシャットアウトし、「もう何も感じられない」そんな心境に陥ってはいませんか?複雑に絡まってしまった感情を一つ一つほどいて行き、もう一度ご自身の感情を深く感じられるようになること。
そして、いつの日か、無理なくご自身の懐に収められるようになることこれから先の人生を豊かにする為に、必要なことではないでしょうか?
これまで当たり前のように日々一緒に過ごしてきた人との別離それは、とても寂しいですよね・・・。
特に、大切な方との離別や、死別を余儀なくされた方は、強い喪失感を感じていらっしゃるでしょう。
心にぽっかりと穴が空いてしまったような何とも言えない喪失感に苛まれながら、いったいどうしたら、いつになったら、この穴は埋まるのだろう?来る日も来る日も考えてしまっていませんか?
「喪失感を抱きながら生きていく」それは、とても辛いことです。
一刻も早くこの辛さから解放されたいと願ったり、いつまでも喪失感から抜け出せない自分を責めてしまっていませんか?
でも、本当に苦しい時って、その苦しみから逃れようとすればするほど空回りしてしまったり、負の無限ループから抜け出せなくなってしまうものです。
無理やり喪失感を払拭しようとしても、貴女の心の中からその痛みが消え去ることはないでしょう。
そして、早く払拭したいと焦っても、その焦りは、逆に貴女の心の回復を遅らせてしまうでしょう。これまで当たり前だと思っていた貴女の日常が一変したのです。
今の貴女が深い喪失感を感じてしまうのは無理もないことです。
先ずは、今感じているその感情を否定せず、ご自身で受け入れながら、認めて行くこと。
貴女自身の気持ちに素直になることが大切ではないでしょうか・・・。
その過程では、更に、色々な気持ちが湧き上がってくるでしょう。
もっと相手を大切にしたかった気持ちもっと分かり合いたかった気持ち。理想の夫婦・家庭を守りたかったのに、真逆の状態になってしまっている。そんな現状への強い後悔の念もあるでしょう。
それは、それだけ貴女がご主人や、家庭に対しての思い入れが強かっただからこそ感じている気持ちではないでしょうか?
夫の不倫から別居や離婚に至ったのであれば、「私は、こんなに大切に思っていたのに、あの人は・・・。」という何ともやり切れない思いもあるでしょう。
でも、その苦しい気持ちは、今も尚、貴女にとって、ご主人の存在がかけがえのないものだという証なのではないでしょうか?
喪失感は、心に大きな空白をもたらします。
その空白はもう二度と埋められないものだと感じた時、一層絶望し、その苦しみから逃れる為に、何とかしてその空白を埋めたいと思ってしまうかもしれません。
でも、今の貴女が感じている空白を、無理に埋める必要があるでしょうか?
もし、他の何かで無理に埋めようとしたところで貴女の心は満たされるでしょうか?
喪失感は忘れる必要も、乗り越える必要もないのかもしれません。大事な人・大切な存在だからこそ感じている今の想いそれらを慈しみ育みながら、今も尚、消えることのない喪失感と共存して生きて行く。そんな選択もあるのではないでしょうか?
その時間はネガティブな感情だけに支配されるのではなく、貴女の心の成長に繋がる時間にもなると思うのです。
たとえ、負の感情であっても、抗うことなく受け止めて行くことそうすることで徐々に心が回復し、 その裏に隠れている貴女の本当の気持ちが浮き彫りになります。
そして、その浮き彫りになった貴女の本心こそ、貴女がどうしたいのか?どんな日々を望むのか?今後の人生への道しるべとなるのではないでしょうか?
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